都民ファーストではなく小池ファースト?

「幽霊の正体見たり枯れ尾花」ではないが、小池都知事が、単なる「お騒がわせオバサン」であることが次第に明らかになってきた。

一言でいうと、小泉政治の亜流だ。自分の敵を作って、それと対決姿勢を強調することによって、拍手喝さいを浴びる手法には長けているが、行政機関の長としての決断力に欠けるという、致命的な欠陥を露呈している。

知事就任後、最初の仕事は豊洲移転の延期であったが、盛り土をせず地下に空間があることが判明し、さらには、土壌汚染が予想以上に深刻なものであることが明らかになったため、この延期の決定は正しかったと評価はされたが、その後の展開は混迷の一途をたどるばかりだ。

専門家会議が、科学的には現状でも「安全」と判断したにも拘わらず、知事は「安全」ではあるが「安心」ではないとして移転に否定的な態度を示し、では、何をもって「安心」と判断するのかと問われても、「総合的に判断する」と訳の分からない言い訳に終始している。

これはマズイと思ったのか、豊洲移転を決定した石原都政時代の責任を追及して批判をかわそうとしたが、石原氏から、科学者が「安全」と評価しているのに豊洲に移転しないのは不作為行為だと逆襲されて、藪蛇になってしまった。

すると今度は、築地市場の土性汚染や築地改修案を俎上に上げて、焦点をぼかそうとしたが、これまた賛否両論で、豊洲移転問題は益々混迷を深めてしまい、着地点が見いだせなくなっている。

東京オリンピックでも、3会場の見直しをぶち上げたものの、結局は、孤立無援、混乱を招いただけで、引っ込めざるを得なくなった。そして、肝心の経費負担の問題も未だ決まらない。

派手な花火を打ち上げて都民の関心を集めたり、自分の政策を語る時は雄弁だが、都合の悪い問題に対しては、黙して語らずで、結論をいつまでも引き延ばしている。

痺れを切らした3件の知事が安倍首相に直訴してようやく重い腰をあげ、仮設施設の負担を決めたが、なんのことはない、元に戻っただけだ。

見直しを持ちださなければ、東京都の経費負担は1兆円を超える可能性があるから、それでは、都民の納得は得られず、非難の矛先は自分に向かってくるかも知れないため、できるだけ結論を先送りすれば、その内、政府や自治体が痺れを切らして、もっと負担するかもしれないと、取らぬ狸の皮算用をしていたか、あるいは、経費削減に努力はしたとアリバイ作りが目的だったと勘繰られてもしかないだろう。

無責任な政治家のことを「マッチ・ポンプ」と言うが、小池知事のやり方は正にそれで、問題を提起しても、その後始末ができないで放置する無責任政治の典型だ。

8月の都議会選挙を有利にするため、都政大改革を喧伝しているが、その中身は何もなく、逆に、自ら引き起こした問題は、批判を恐れて結論を先送りしているのが現状なのだ。これでは、都民ファーストではなく、小池フアーストだろう。

豊洲移転を遅らせれば遅らせるほど経費は嵩み、市場関係者だけでなく都民にどれだけ迷惑を掛けると思っているのだ!!!

オリンピックは東京都が招致し開催するのだから、全額負担するのはあたりまえだろう。それを、「オールジャパン」などと誤魔化して、国民の税金や引き受ける県の税金で賄おうとするのは、図々しいのも程がある。偉そうな顔をするな!!!