戦後の切手収集ブームの思い出

昭和35年頃から、一大切手収集ブームが巻き起こりました。昭和35年と言えば戦後10年たっており、終戦直後の食料難の時代は過ぎ去り、世の中も落ち着きを取り戻し決して裕福ではありませんが、どの家も生活に多少のゆとりが出てきた時代でした。

そうした中で、突然、切手収集ブームが始まったのです。そのきっかけは、「切手を集めれば将来高く売れる」といううわさが広がったことにあったように思います。

こうした切手収集ブームには伏線がありました。昭和25年~昭和28年の朝鮮戦争の頃は、銅の値段が高騰したため、銅の収集がブームとなり、銅を使った金具などが盗まれる事件が頻発しました。切手収集ブームは、銅集めブームが終わってしばらくして始まったのです。

やはり、銅ブームの後、何かに熱中する対象を求めていたのかもしれません。それが、切手であり、経済的に多少のゆとりが出てきたことが、それに拍車をかけたのです。

その背景には、終戦直後に発売された切手などが高値で買い取りがされるなど、古い切手の価値が高まっていたことにあります。

とりわけ、戦前に発行された切手は、発行数も少なく、しかも、未使用で残っている切手は少ないため希少価値があったのです。

また、当時、全盛であった映画は白黒でしたから、切手のように多彩のものは余り見ることはありませんでした。

このため、多数の色が使われている切手は、小さな絵画のように扱われ、切手ブックに収集した切手を入れて眺めるのも楽しみの一つでした。

子供達は、少ない小遣いを貯めて切手販売店にあしげく通い、記念切手が発売される時は、郵便局の前に並び、お金がないからシート買いなどとてもできせんから、1枚とか2枚買って、それを近所の子供達に見せびらかせて自慢したものでした。

今から考えれば、たとえ売ったとしても微々たるお金にしかならないのでしょうが、当時の子供達にとっては、自腹を切って苦労して買った切手は、何物にも代えがたい宝物だったのです。

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