高齢出産と少子化

某中学校の校長が、「女の子は、子供を2人以上産むのが義務だ」という趣旨の発言したことがマスコミを賑わしているが、正に、戦前の「産めよ増やせ」を彷彿とさせるものだ。
確かに、この校長が言うように、少子化は国の将来を左右する一大事だから、その気持ちはわからぬではない。
その一方で、保育園に入れない待機児童の問題が解消されず、母親は子供を預けて働きに出ることすらできないため、2人以上産めと言われても、現実問題として生める環境にないのだから、どだいむりな話なのだ。
しかも、収入が伸びないため、結婚も難しく、たとえ結婚できたとしても、高齢結婚となり、夫婦共稼ぎでないと食べていけないとなると、子供を生む余裕すらないのが現状だ。
かくして、結婚年齢は高くなり、必然的に初産年齢も高くなる。2013年の調査によると初産年齢の全国平均は、なんと、30.4歳だそうだ。
30歳と言えば、一昔前であれば子供の2人や3人は生んでいたのだから、この傾向が続くと、少子化が益々すすむことになる。
フランスも、1990年代、出生率は1.66にまで下がったが、2012年には2.01へと回復している。
出産年齢は日本とほぼ同じなのに、このように回復できたのは、政府の家庭関係の支出が対GDP比で日本の3~4倍にも達し、育児と仕事を両立させやすい政策が整備されたことによるものだ。
女性が社会に進出して活躍するのは時代の要請であり、これに伴って、晩婚化が進むのはやむを得ないことかもしれないが、出生率を上げるための支援策が充実すれば、高齢出産でも2人以上産むことは可能なのだ。
「保育園落ちた、日本死ね」とブログに書かれるようでは、永遠に、少子化傾向を止めることはできないのだ。



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